浜松の若手IT起業家から見たGarageの「文化」
棱野 寿章
株式会社プログメイト
インタビュー
The Garage for Startups(以下Garage) 利用者のインタビュー、今回は、株式会社プログメイト代表取締役社長の棱野 寿章(かどの・としあき)さんにインタビューしてきました!
学生起業したきっかけや、IT技術を用いた教育のアップデートの展望など、とても興味深いお話を伺うことができました!
棱野さん、本日はよろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
まず、棱野さんの自己紹介をお願いします。
株式会社プログメイトを起業して代表取締役社長を務めている棱野 寿章です。事業は主にプログラミング教育や法人向けのシステム開発を行っています。
プログラミング教育は子ども向けには塾を運営したり、大人向けにはリモート講義を行ったりしています。また、大学や様々な企業から受託してシステム開発やデータ分析を行っており、教育だけでなく自分たちも常にプログラミングスキルを磨いています。
僕にとっては同じ大学出身で起業して活躍されている大先輩という感じです…!静岡大学の学生で起業をする人は多くないと思うのですが、なぜ起業したのでしょうか?
僕はもともと人に何かを教えることが好きで、高校生までは数学の先生になりたかったんです。その後、大学に入ってプログラミングを始めたのですが、とてもハマってしまい、たまたま公募されていた高校生向けのプログラミング家庭教師を始めてみました。それもあってIT教育について考えるようになったのですが、今後IT人材の需要は高まるにも関わらず、IT人材、またIT人材を育てるための教育の仕組みも不足している(※)こと知り、「将来活躍するIT人材を増やす」というミッションを掲げて、プログメイトの起業に踏み切りました。
※2030年には45万人のIT人材が不足する(経済産業省)「IT人材需給に関する調査」2019
まさにこれからの日本に必要な取り組みですね!ちなみに社名の由来は何だったのですか?
プログラミングをする仲間を増やしたいという意味を込めて、「プログラミング+メイト(仲間)」を組み合わせてプログメイトにしました。
日本はプログラミングの早期教育(小学校〜高校)の体制が不足していることから、当社は子ども向けプログラミング教室事業からスタート。そこには、当社で教育を受けた仲間が増えて、将来活躍してほしいという想いもあります。
プログメイト出身のIT人材が育っていき活躍する未来はワクワクしますね!現在はどのような案件を手がけられているのでしょうか?
現在は子ども向けだけでなく、個人の大人や法人向けのプログラミング教育も行っています。とくにGarageに入ってから、つながりのできた企業さんのIT部門の方たちを対象にWeb技術やデータ分析など専門的な知識に関してリモートで講義を行うようになりました。Garageで繋がった企業さんとさまざまなプロジェクトを立ち上げて、アプリやシステムの開発を行うことも増えました。
Garageと関わるようになったきっかけは何だったのですか?
さまざまな理由がありますが、ひとことで言うとGarageの運営をされている杉浦さんと仲が良かったのが大きいですね。
杉浦さんとは、浜松いわた信用金庫さんが行っている「チャレンジゲート」というビジネスコンテストの第5回の同期です。私自身が浜松には数少ない「IT系のエンジニア×起業家」であるという属性も、杉浦さんの興味をひいたのだと思います。また、浜松は起業家や新しい挑戦を歓迎する文化があるので、杉浦さんも含め、起業家仲間でよく飲みにも行っていました(笑)。
そのように元からの繋がりもあって、杉浦さんがGarageを立ち上げ後すぐに入居しないかと誘っていただきました。私もその時ちょうど、システム開発の事業のためのオフィスを探しているところだったので、タイミングも良かったですね。ただ、当時はまだコミュニティと呼べるほどの入居者数も人的交流もありませんでした。なので、コストパフォーマンスや立地、静かな個室といった「オフィス」としての機能を重視して入居を決めた、というのが正直なところです(笑)。
コミュニティとして面白そうだから、といった理由ではなかったんですね(笑)。当時に比べてGarageはどう変わりましたか?
さまざまな領域の熱量の高い人が集まり、全体がゆるくフラットに繋がっています。オープンで心理的安全性の高いコミュニティになりましたね。
「こういうことができたらいいよね!」と居酒屋で話すくらいの気軽さで、新しいアイデアについて入居者同士で話せます。しかもオフィスなので、本当にそのアイデアが仕事として始まっていくんですよ。
これが居酒屋での会話だったら、その場限りの雑談で終わってしまうことが多いと思います。オフィスで他社と仕事の話をするには、「アポを取って、会議して、持ち帰って、承認してもらって、また会議して…」みたいなことになりますよね。
でもGarageでは、その場の雑談から新しいコトが始まります。しかも発注者と受注者といった関係ではなく、”共にチャレンジする仲間”のような関係になれます。Garageにいると色々なことに巻き込まれて本当に楽しいです。
今後Garageに期待したいことはありますか?
とてもいいコミュニティですが、広さの問題で物理的に会員数の限界があるのはもったいない気がしてます。入居希望者が増えてきたら、Garage2号店、3号店などができて、浜松全体がGarageみたいな雰囲気になると楽しそうですよね。リンクウィズさんが業務拡大にともないまたオフィスを引っ越したら(※)その跡地をまたGarageにするとか(笑)。
(※Garage は、リンクウィズ株式会社さんの元オフィスであり、その跡地をスタートアップのイノベーション拠点として引き受けた施設です。)
最後に、棱野さんが今後チャレンジしたいことを教えて下さい!
大きく2つ、新たなチャレンジを考えています。
1つ目は、プログラミング教育における、AIを用いたアダプティブラーニングの実装です。
アダプティブラーニングとは生徒一人ひとりに合わせた学習方法のことです。生徒は一人ひとり、得意な考え方や持っている知識、学習速度などが異なります。
特にIT業界は変化が激しく、プログラミング教育は常に内容をアップデートする必要があります。そのため、変化の激しい指導内容を、生徒の特徴に合わせて細かく調整することは人力では難しいのが現状です。
そこで、私の大学時代の専門でもあるAI・自然言語処理の技術を活かせると考えています。例えば、生徒の学習プロセスを分析することで、一人ひとりの特徴に合わせた最適な学習カリキュラムや教材をAIで自動生成できるはずです。それが実現できれば、従来に比べて生徒一人ひとりがより深く学び、活躍するサポートに繋がります。
2つ目は、プログラミング教育に限らず、ノウハウ化されていない領域の業務知識を形式知に落としこむ仕組みを作ることです。職人の世界のように、ノウハウ化されていない暗黙知は、多くの企業に存在しています。それらを業務データなどから抽出し教育資料にまとめられたら、従来は時間をかけて先輩についてまわって覚えていたことを、短期間で知識として得ることができ、すぐに活躍できるようになると思うんです。
まさに活躍する人材を増やす挑戦ですね!新たなチャレンジ応援しています!本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
ありがとうございました。