深瀬 泰宏 / 株式会社filments

フリーランスからアライアンスの時代へ。これからの地方クリエイターの未来を担って

株式会社filments
代表 深瀬泰宏

平成30年7月に法人化。動画制作を主な業務として、静岡県内を中心に企業のプロモーション活動のサポートを行う。動画制作は、企画、撮影、編集まで一貫して手がけており、動画を活用するマーケティング提案にも対応。「浜松クリエイターズ交流会」「いえログ」など、動画制作の枠を超えた活動にも手を広げ、地方の動画クリエイターの未来を担う存在として活躍している。

まずは簡単に業務内容について教えてください。 

動画制作業を中心に、クライアントとなる企業様のコンテンツ作りをお手伝いさせて頂いてます。主な業務としては、動画の企画・撮影・編集、写真撮影、グラフィックデザインなどを請け負っています。

どのような動画を作られているんですか。

 求人採用や販促など、企業の課題解決につながるようなWeb動画、YouTube向けの動画を中心に制作しています。

 依頼の多い中小企業のクライアント様の場合、社長の人柄を通して伝えることで、他社との違いや差別化ができるケースが多くあります。社長のインタビューなどを通して、そういったところを分かりやすく伝えるような動画を制作しています。

 また弊社の場合、社員が複数名いるので、実写動画、イラストアニメーションの動画など、多様な表現の中から最適解を選択し、クライアント様の魅力を最大限に引き出して視聴者に伝えることが可能です。

 企業動画以外に手がけているのは、観光PVなどです。観光PVなら、よその地域の人が見ても面白いような動画。人や場所を通して、地域の良さが伝わるような動画を作っています。

 最近では、ホームページやブログを中心としたブラウザ検索、Googleマップのローカル検索に加え、YouTubeで情報を探す、動画検索の需要も高まっています。YouTube向けの動画を制作することによって、企業や地域の情報を分かりやすく伝えるための手助けを行なっています。

動画制作以外にも、多岐に渡ってご活躍されている印象があります。

 最近ではただ動画の制作をするだけでなく、どうしたら動画がもっと見られるのか、マーケティングの部分のご提案をする機会も多くなってきています。というのも、制作者の欲求として、作ったものが見られないのが嫌だという考えが根底にあります。

 ただ作っただけでは動画は見られないので、見られる環境を整備してあげないといけない。その手助けが必要なんです。そのためにはSNS運用、YouTubeマーケティングなどを駆使して、どういう動画なら見られるのか。どうしたらもっと見られるのかという部分を深掘りしていくことが重要です。

 動画は安くありません。お金を頂いている以上、それ以上の利益を返さなければいけないので、たくさんの人に見てもらえるよう、マーケティングも積極的に提案しています。

 また、自分や社員が勉強することによって、より分かりやすく提案できることに繋がるので、様々な講習会にも積極的に参加しています。クライアント様に頂いたお金は、自身や社員の学びに投資することで、還元ができると考えています。

起業されようと思ったきっかけも教えてください。

 元々、名古屋の専門学校で3DCGを学んでいたんですが、卒業後は映像の仕事に就くことはなく、転職を繰り返していました。2011年に名古屋から浜松に戻ってきた後も、3年ほどはやりたい仕事が見つからず、フラフラしている状態でした。

 そんな中、ある転機があり、とある企業で動画制作事業部の立ち上げに携わる機会を頂くことができました。残念ながらその事業部は、会社の都合で開発途中で中止になってしまったんですが、そこの社長がとても親切な方で、「カメラとPCをあげるから独立してみたら?」と、声を掛けていただき、独立のチャンスを得ることを出来ました。

 半年間の立ち上げ期間中に、これからの動画業界がどうなるかをリサーチする時間が十分にありました。2014年は動画元年と呼ばれた年。「動画はいけるんじゃないか。」という手応えを感じました。実務経験がなく不安はありましたが、自分はやれるぞという、根拠のない自信だけはありました。当時29歳で職歴も不安定なものだったので、「もし失敗しても、自惚れだったとしても、失うものはないからいいや。人生逆転を目指して、起業しよう。」と決心しました。

 独立して最初の一年は苦しく、某金融機関に融資を断られたり、とにかくお金には苦労しました。

 それでも、事業家が集まる交流会には参加していました。そこでは、クリエイターは自分以外ほとんど参加していなかったので、何度か参加しているうちに、「クリエイターがいないということは、事業者側からすれば、発注先を見つけるのに大変な思いをしているのではないか?特に、動画という特殊な仕事を、どう依頼していいか分からず困っているのでは?」という思いが芽生えました。そこからはそういった場により積極的に顔を出し、名前を覚えてもらうことに重きを置いて活動をしました。

 会ってすぐに仕事につながるということはなかったのですが、しばらくたった時に相手が必要なタイミングで依頼がもらえたり、その実績を見て口コミでまた依頼がもらえるようになりました。3年目からは人を雇えるようになり、今に至っています。

今後の展望やチャレンジしたいことなどがあれば教えてください。

 今、新しくThe Garageのイベントスペースを使い、「浜松クリエイター交流会」というイベントを開催しています。2019年の9月からスタートしたのですが、その背景には、今、時代はクリエイターが個人で対応する時代から、チームを組んでアライアンスで対応しなければならない時代へと変化してきているという点があります。

 例えば、一つの会社でも商品によって、可愛く売りたい、かっこよく売りたいなど、違った見せ方での対応が必要ですし、ホームページはもちろん、InstagramやYouTubeなどのSNSごとの対応も必要です。

 そういった対応に一人のクリエイターだけで臨むのは難しく、クリエイターがマーケティングまで学んでいくのも難しい。また、会社で全てのマーケティングを行うことも難しい時代です。

 いろいろなクリエイターが周りにいる環境を作ることができれば、プロジェクトに応じて適材適所でチームを組んで対応することが可能です。クリエイター交流会は、そういった環境づくりとして位置付けています。

 今後は、隔月でテーマを決めながら、カメラマンが集まるようなイベントにしたり、ウェディング関係のクリエイターが集まるイベントをしたり、学生も集めながら、若いうちからクリエイティブな環境に触れられるような場にして、浜松のクリエイターの質を上げていきたいと考えています。近々YouTubeで「浜松クリエイターチャンネル」というチャンネルを立ち上げて、クリエイターのインタビューなどの動画も配信していく予定です。

 他には、「いえログ」という、家が建つ様子を動画で残す動画商品と工務店紹介を組み合わせたWebサイトの運営も始めています。上棟式や引き渡しの様子を動画に残すことで「なぜ家を建てようと思ったのか」「なぜその工務店を選んだのか」など、施主を通して工務店を紹介する動画です。家づくりは何をしてどのくらいお金がかかったのかなど、不透明なところが多く、それらを解決する一つの答えになると考えています。

 きっかけは、家を建てる様子を動画に残して欲しいという、一つの工務店からの要望でした。撮影・制作をしているうちに、これはこれから家を建てる人にとってもいいものになると感じ、それならその動画を見て家づくりの参考にしてもらえるWebサイトを作ろうと思いたち、運営をはじめました

 また、いえログを運営する理由として、地方で固定の動画の仕事を作りたいという思いもあります。地方では、テレビ以外に固定の仕事はほとんど無く、フリーランスでテレビの仕事を受けるはかなり難しいでしょう。テレビ以外というと、学校関係やウェディング関係の撮影ぐらいで、その他に固定の仕事がないのが現状です。同一企業からの依頼も、1年に1本、多くても2〜3ヶ月に1本です。
 
 もう一つぐらい固定になる仕事があれば、地方の動画制作者は増えるはずです。地方に動画制作者が増えれば、地方から全国、地方から海外へ魅力が伝わり、強いては日本全体の市場の活性化にも繋がるのではないかと考えています。そういった意味でも、いえログは家を建てる際のスタンダードになるような動画コンテンツにしていきたいと考えています。

取材を終えて。

29歳からチャンスを掴んで、人を雇うまでに成長された深瀬さんの話はとても刺激になりました。流れを読み、行動に移す実行力と、人との繋がりを大事にする姿は、これから起業をされる方にとっても参考になると思います。地方の動画界を率先していく姿に今後も要注目ですね。

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